自己泥酔ライブ〜the バトル8

今日は負けてしまったけど、それより得たものが大きいです。まず、自分がやりたいことをそのままやることに対する、怖さが少しづつ減ってきました。こんなの言うと、どう考えても言い訳みたいだけれど、勝つことだけ考えれば、自己泥酔ライブは2ヶ月に1回くらいだし、何回かに1回くらいは勝てると思う。初舞台から、そんなに経ってない芸人も多いし。
でも、それは自分の中で何かが違う。そこを目指すなら、サンミュージックやナべプロのネタ見せに毎回行って、ネタ見せが終るまで待って、スタッフの人にたのみこんで一緒に飲みに連れて行ってもらって、ピン芸人だからテレビで編集しやすい短いネタがいくつも連続される、それでいて見せ方は今までにない新しい方法のネタにして、ぼくは、やせているから細身のスーツを着ればいい。それくらいは知ってるんです。
というか、知ってしまっているんです。
ぼくは9年間、コンビでお笑いをやってきて、そういうビジネスの部分はすべて相方の龍前寺清彦がやってくれていました。そのおかげで、ぼくらは田辺エージェンシーや、大滝エージェンシーの所属タレントにもなりました。増田・岡田さんやアメリカザリガニさんと一緒にテレビに出させてもらいました。サワズカンパニーのオフィスで、社長にぼくらだけのために2時間もネタ見せをしてもらいました。
その頃は、ぼくはただしたいようにしていました。それは、たぶん全部、龍前寺清彦が通役をしてくれていたからです。だから、ただしたいようにしていればよかったんです。
そして、ピンになって、最初の数ヶ月はコンビの時のように、ただしたいようにやっていました。そしたら、twlのアフロシアターブロンズナイトという、年に数回の大きなライブで優勝しました。
でも、たくさんのピン芸人のネタを真剣に見ていて、色々知ってしまうと、それができなくなる。知識が、自分を熱焼して捨て身で優勝を狙うより、小手先の技術で、次回に進める2着や3着を拾おうとするユウワクに負けそうになるんです。勝ちたい気持ちが、負けたくない気持ちが、助かりたい気持ちにすりかわる。勝つことと、助かることは正反対だってわかっているのに。勝ちは、負けというリスクを背負った人間だけが手にいれることができる権利です。助かりたいという気持ちは、負けというリスクを背負いたくないということで、イコール勝てないということです。だから負ける。同じ負けでも、勝とうとして負けるのと、助かりたくて負けるのとでは、まるで正反対です。だって助かりたい人は勝つ可能性がゼロなんだもの。
ここ数ヶ月、ずっとそれが頭ではわかっているんだけど、できなくて、負け続けていました。助かりたくて仕方なかった。正直、おれの引き出しはつきたのかなって、思いました。
でも、そうじゃなかった。ましておれはフリー芸人なわけだし、負けてもリスクなんてない。だったら、いかないで何の意味があるんだって話しですよ。いっちゃわなきゃ観てくださるお客様に対して無礼極まりない。だから、やりたいことをやりたいようにやる。
それがわかったのは、大好きな芸人さんの言葉と、お客様のおかげです。ありがたい。
同じ負けるなら、戦って負けろ。うまく助かって3着くらい拾えても誰に何のよろこびと楽しさを感じていただけますか。
お笑いに対する考え方は人それぞれで、決まった答えはないけれど、ぼくはただしたいことをしたい。今日は少しだけ、それの入りロが見えた。


『自己泥酔ライブ〜the バトル8』
出演者★日本人!、飛鳥どれみ、龍前寺清彦、ポジマム、夢、メガネまっさまん、印度の林檎、溝口、緑々、菩薩、白石りゅうじ、ジャックポット、炭水化物、ヤダーン、レッツスピーク、πr、オヤジドライバーズ、ダムダムおじさん、アンチ人間、30分フルタイムドロー、あべしまお、ホラガラス、パンクラチオン


1ブロック優勝★あべしまお
2ブロック優勝★パンクラチオン
3ブロック優勝★印度の林檎