華がある

お笑いの舞台ではよく「華がある」という言葉を使う人がいます。これはお笑いに限らず芸能の世界ではよく使われる言葉で、なんとも微妙なニュアンスの言葉なのですが「華やかさ」といった意味で、その人が舞台に現れると舞台が華やぐ人のことを言います。この「華」に関しては、もう絶対的に女性が有利と決まっています。まず、デパートの婦人服売り場と紳士服売り場を見比べれば一目瞭然で、婦人服売り場が様々な色で埋め尽くされているのに対し、紳士服売り場は全体的に黒い。まあ、男性は統計的に職業の性質上、あまり突飛な格好はできないのですが、だからといって黒ばかりではなんとも地味で気が滅入るのです。
離婚弁護士Ⅱというドラマが放映中なのですが、このドラマは天海祐希さんと瀬戸朝香さんが演じる女性弁護士の対決がメインになっています。ストーリーはいたって普通の少しコメディタッチのドラマなのですが「離婚弁護士」というドラマが成立する理由はキャストが女性だからです。その週によって出演するゲストキャストも内山理名さんや乙葉さんです。これがもし全員男性キャストだったら、悲惨極まりないです。弁護士という職業は「行列のできる法律相談所」の橋下徹弁護士のように、男性でも個性的な人物が多いジャンルです。でもドラマであれば、主演のライバルふたりのうち、どちらかは必ずスーツにしなければいけないのは必然です。両方ともがモヒカンやら着物やらでは弁護士という「現実」を描いたフィクションは成り立ちません。
となると、片方のスーツの方は陣内孝則田村正和しかいません。で、もう片方の弁護士がカジュアルな服装のキャラクターだとすれば、中居正広織田裕二になるのは自然界の摂理です。これではまさに地味の極みであり、やっと出た女性キャストが松たか子みたいなことになりかねません。
まあ、どうあれ女性は生まれつき華を持っているんです。対して男性は意識して持つしかない。幼稚園児ですら、女の子は色とりどりの折り紙やあやとりで遊ぶのを好むのに、男の子は鉄パイプを組み合わせただけのジャングルジムで遊ぶことや、カブトムシやクワガタみたいな真っ黒い虫を捕まえるのを好むでしょう?
お笑いは、ただ華やかなだけではなく、場合によっては地味で暗いことが輝くジャンルであり、元来が男性社会の江戸時代に発生した落語などがルーツなので、男性芸人が圧倒的に多い。なのでファンは女性が多いんです。しかし、何が悲しいといって、お笑いのライブで、舞台より客席の方が華やかなことほど悲しいことはありませんよ。
だからね、男性のお笑い芸人も、舞台上でいくら地味なキャラクターを演じる芸人だとしても、普段は、とにかく他人と違うことをすること、とにかく目立つこと、とにかく誰も思いつかないことをし続けることが必要ですね。
ちなみに髪の毛をピンクに染めるようなことは誰でも思いつくことであり、逆に、子供のくせに難しいことわざを使いまくるのが、誰も思いつかない才能だと思います。