テロリストはすぐそこにいる

7月7日朝(現地時間)ロンドン中心部の地下鉄構内3か所とバス1台の計4か所で1時間以内に連続して爆発が起きました。確認された死者数は現在49人ですが、英メディアによると行方不明者は約30人、入院中の負傷者は約70人で、このうち十数人が重体だといいます。遺体は損傷が激しく、9日正午現在、1体も身元確認されていません。
この爆発について、国際テロ組織アル・カーイダ系の「アブ・ハフス・アル・マスリ隊」を名乗る組織が9日、インターネットで犯行声明を出しました。同組織は、昨年3月に死者約190人を出したマドリード列車爆破テロや2003年11月のイスタンブール連続爆破テロでも犯行声明を出しています。今回の事件では、発生直後に、「欧州の聖戦アル・カーイダ秘密組織」を名乗る組織も犯行声明を出しています。
「アブ・ハフス・アル・マスリ隊」が犯人なのか「欧州の聖戦アル・カーイダ秘密組織」が犯人なのかはわかりませんが、ニューヨークの貿易センタービルに、ハワイのパールハーバーに奇襲を仕掛けて太平洋戦争を勃発させた日本軍のように、飛行機を衝突させ崩壊させた、オサマ・ビンラディン率いるテロ集団「アル・カイーダ」はひとつの組織ではないと思われます。もうアル・カイーダはひとつのテロ集団から、ひとつの「主義」「思想」になってしまっていると思います。

こんな分裂というか諸派が成立した理由は様々な原因が考えられます。ヨーロッパの中にはボスニア・ヘルツェゴビナのような国が存在します。ボスニア・ヘルツェゴビナの宗教の割合は「イスラム教40%,正教会31%,カトリック15%,プロテスタント4%」です。ヨーロッパ人は全員がキリスト教なわけではありません。そしてアル・カイーダによる貿易センタービル爆破テロが起こり、アフガニスタンイラクで「アメリカ対イスラム原理主義テロリズム」との戦争が行われました。
この時に、ヨーロッパに住んでいるイスラム教徒は、自分たちはただイスラム教を信じているだけで、テロなどとは一切関係ないのに、差別的扱いを受けたといいます。その中の一部が、差別的扱いを受けたことから、アル・カイーダに傾倒していき、アル・カイーダを思想とした新たなテロ組織を作っていきました。これが「アブ・ハフス・アル・マスリ隊」や「欧州の聖戦アル・カーイダ秘密組織」といった、本来のアル・カイーダから分裂した、アル・カイーダ思想を持つテロリストを生む大きな原因になったのではないかと思います。
これと同じことは日本でも行われています。北朝鮮テポドンを日本上空を通過させ太平洋に投下した際、何の関係もない日本の朝鮮学校の女子生徒の制服であるチマ・チョゴリをカッターで切り裂く事件が頻発しました。朝鮮学校の生徒は朝鮮人を親や祖父母に持ちますが、日本で生まれ育った、日本人の仲間です。彼女たちの制服をカッターで切り裂くというのは、もうそれが充分なテロです。一部の汚い心を持った日本人はテロと同等の犯罪を行っているのです。突然、制服を刃物で切り裂かれる彼女たちの恐怖は計り知れません。彼女たちが受けたトラウマから、彼女たちの中の一部が、日本人を標的にしたテロリストになってもおかしくないくらいの精神的ショックを、一部の馬鹿日本人はカッター片手に平気で行っています。

だからね、かっとなってはいけないんですよ。ただそれだけなんです。恋敵をライオンに食べさせたり、負けたサッカー選手を鞭打ちにするようなフセインの子供たちは、アメリカがしっかり殺してくれました。彼らは、イラクの首都バグダットのビジネス街に首吊り処刑された死体を陳列し、国会の最中に議員を平気で銃殺した「死刑になるのが当然」な人々です。

でも、ヨーロッパで真面目にイスラム教を信じている人々や、日本でチマ・チョゴリを着て学校に通っている生徒たちには、何の罪もありません。その人たちに差別や刃物で切りつけるような行為をすることは、小さなテロリズムであり、それが、大きなテロリズムを生むきっかけになるのだと思います。