永田町劇場

先日ライブが終わって出演者やスタッフ数人とファミレスで飯を食っていたところ、とある芸人が「飛鳥さんって、ほんまのところは右翼なの?左翼なの?」というとんでもない質問を真顔でしてきました。あまりの奇襲先制攻撃にうろたえたぼくは「機長、垂直尾翼がないんですよ」と答えておきました。
まあ、これはギャグのやり取りなんですが、本当のところはぼくは別に右翼でもなければ左翼でもありません。ぼくはよくネタに政治的なことを入れるので、あたかも政治的思想を持っているかのように思う人もいるかも知れないのですが、そんなものは特別ありません。それはただ単に政治的なことが面白くて好きだから、ネタに入れているだけです。音楽が好きな人は音楽のことをネタに入れることが多いだろうし、スポーツが好きな人はスポーツのことをネタに入れることが多いと思います。
で、なぜ政治的なことが好きかというと、シンプルでわかりやすいものが好きだからです。政治はただ単に自分たちの欲、この場合は権力欲を、東大を出たおじさんたちがあらゆる発想を駆使して満たそうとする劇場です。わかりやすい上に予想もつかない展開が繰り返される最高のエンターテイメントです。しかも、世の中を良くしようとする、本来の政治の目的である理想を持った人に、百戦錬磨のおじさんたちがあっさりと負けることもある。だから面白い。
ところで、右翼でも左翼でもないぼくはどの翼なのかといえば、それは当たり前のことなのですが、ニュートラルです。ひとつの党には良いところもあれば悪いところもある。選挙で投票する時は、候補者の中で、もっとも良い割り合いが多いと思う人や党に投票します。当たり前ですが。
右翼や左翼になってしまう人は、ピュアなこころを持った理想主義者が多いと思います。権力欲や金銭欲から政治活動をしている人が、右翼や左翼になることは、現在の日本では考えられません。
しかし、世界という現実はひとりの人間の頭の中で起こっているできごとではありません。たくさんの人々の頭の中が集まって現実の社会が出来上がっています。だから理想だけではどうにもならないんです。だからといって、何でも合理的に、現実主義だけでいいというものでもありません。それは人間の放棄です。人間は社会を潤滑に運営していくだけの管理ロボットではありません。
だから、いつでもレバーはニュートラルに入れておきたいです。なかなか難しいことですが、すべてのことを、そういうふうに見れるようにしたいです。