真夏の怪談


飛鳥どれみ「そういえば今年はまだ怪談話大会をやってなかったな」
ましゅまろちゃん「なに?今年もやる気?3年連続で『野方の踏切』の話し http://d.hatena.ne.jp/asukadoremi/20030827#p1 したら、さすがにキレるよ」
飛鳥「あのな、西武新宿線に野方っていう駅があるんだよ」
ましゅ「おい!!聞いてんのか!てめえ!!」
飛鳥「いや、ほら、お約束っていうのがあるじゃん」
ましゅ「そんなお約束はいらん!とっとと、先に進んでよ」
飛鳥「うん。あのな、西武新宿線に・・・」
ましゅ「お遊びはいい加減にしときや。東京湾の水は冷たいでえ」
飛鳥「極道かお前は?」
ましゅ「あ!ちなみに、今のセリフは、脅されたって訴えても無駄だよ。恐喝罪にはならないんだからね。『殺すぞ』って言ったら、怖がらせてるから恐喝罪になる可能性があるけど、東京湾の水の温度の説明は気象予報士だってしてるから。あと、強盗をするときは絶対にしゃべらないで、身振り手振りだけで金を奪うことがポイントだよ。猟銃を持って相手がひるんだところでお金をぶん取って、それで逃げても、『殺すぞ!』とかしゃべらなければ、相手が勝手に『金を渡さないと殺される』って解釈したっていう判断になって、たとえ捕まって裁判になっても、強盗罪より軽い窃盗罪になる可能性が高いよ。プロっていうのはそういう風にやるもんだよ♪」
飛鳥「お前、本物なんじゃないか?」
ましゅ「もういいから、早く話してよ」
飛鳥「そうそう、西武新宿線にね」
ましゅ「なめんなっ!この腐れ外道!!しつけえよ!!」
飛鳥「だってさ、2回ボケた後には必ず3回目もボケろって、師匠に言われたよ」
ましゅ「『三段オチ』の意味が全然わかってねえじゃんか!それはただの『3連続同じボケ』だよ」
飛鳥「まあ、いいや。あのな、おれ西友でバイトしてるだろ?」
ましゅ「うん。スーパーの食品コーナーだよね?」
飛鳥「そう。そこでな、最近、何日も連続で不可思議な現象が起きてるんだよ」
ましゅ「どんなの?」
飛鳥「よくさ、スーパーで、商品が入ったままのカゴがすみのほうに置き去りになってることがあるだろ?」
ましゅ「ああ、そういえばあるね。あれ、何なの?」
飛鳥「あれはさ、ただ単に置いといて忘れちゃったか、万引きが普通に買い物してるふりをするためのカモフラージュなんだよ。カゴ持ってないとあやしいでしょ?」
ましゅ「ああ、なるほどね。んで?」
飛鳥「それでな、3日連続でカゴが置き去りになっていたんだけど、そのカゴの中に、毎回必ず、肉のパックが入っているんだよ。しかも、肉のパックのラップが破かれていて、中の肉がないんだよ。嫌がらせかなとも思ったんだけど、そうじゃないんだ。だってな、肉がどこを探してもないんだよ。パックを破いて肉を取り出した跡は残ってるのに、肉が消えちゃってるんだよ。生肉だよ」
ましゅ「なにそれ?どういうこと?」
飛鳥「つまりな、売り場のすみっこの陰にかくれて、誰かが生肉を食ってるんだよ。手づかみで」
ましゅ「うわあ・・・。なんか、それすごく怖いっていうか不気味だね・・・」
飛鳥「だろ?しかもな、スーパーで売ってる肉はいくら血を抜いてあるとはいえ、やっぱり赤い汁がぽたぽた垂れるんだよ。その、置き去りのカゴからも、赤い汁の跡が、点々と続いてるんだ」
ましゅ「ええっ!じゃあ、それをたどって行ったら犯人がわかるの?」
飛鳥「うん。だから、その赤い点々をたどって行ったんだ」
ましゅ「ううっ・・行っちゃったの!?やめとけばいいのに。怖いよ」
飛鳥「点々はな、店の外まで続いていて、あるところでぱったりと消えていたよ」
ましゅ「・・・どこ?」
飛鳥「野方の踏切」
ましゅ「えっ?」
飛鳥「西武新宿線の野方の踏切」
ましゅ「てめえ、こっちが本気で聞いてりゃあ!!またそれかよ!!だいたい飛鳥のバイトしてる西友から野方なんて電車で1時間近くかかるじゃねえか!!!」
飛鳥「だって、2年ボケたときは3年目もボケろって」
ましゅ「ボケてもいねえし、オチてもいねえよ!!『三年三段オチ』なんてあるわけねえだろーー!!」
飛鳥「だから、今、作った」
ましゅ「作れてないよ!!ホップ・ステップが忘却の彼方にあるジャンプなんか、面白くもなんともないじゃんかーー!!殺すぞ!!!」
飛鳥「そっか?おれは面白いよ」
ましゅ「どこがー!?」
飛鳥「ましゅまろちゃんが恐喝罪を犯してるところが」
ましゅ「・・・。」