53歳・レトリックにまみれた生き様

ぼくはお笑いが好きな人にはぜひプロレスを見てもらいたいといつも思っています。K−1とかプライドではありません。プロレスです。
天龍源一郎というプロレスラーがいます。この人は「馬場と猪木の両方から3カウントを奪った唯一の現役レスラー」と言われる通り、とても有名なベテラン選手です。この天龍が最近使うようになった「新必殺技」の名前が「53歳」といいます。理由は天龍が53歳だから。アナウンサーもこの技が出る時は「53歳!!」と絶叫します。まあ、技の名前だから仕方ないんですが、なんだかね。しかも「53歳」は「ブレーンバスター」というみんなが使っている技とあんまり変わらないんです。でも天龍がやればそれは「53歳」なんです。
プロレスではルールでパンチは禁止になっています。しかし天龍ただひとりだけパンチが許されています。それは天龍のパンチは「グーパンチ」という名前の必殺技だからです。ぼくが今言っていることっておかしいですよね?だって名前が変わったってパンチはパンチなんですから。でも天龍の手にかかればそれがまかり通ってしまうんです。「グーパンチ」は「グーパンチ」であって「パンチ」ではないんです。もちろん他の選手が「グーパンチ」をしたらそれは「パンチ」なので反則負けですよ。
この天龍は今、長州力という選手とタッグチームを組んでいます。しかし、久々に組んだからとかなんかで、勝ったのにあまり息が合わなかったんです。試合後記者のいるところに現れた長州力は「まあ、これから息もあってくるだろう」みたいなことを言って控え室へ戻って行きました。しかし天龍がなかなか現れないんです。5分後、やっと来た天龍の手にはトイレの消臭剤の「消臭力」が。そして記者の前で「消臭力」を床に撒き散らすと「くさいんだよ!長州力くさすぎる!!」と怒りながら控え室へ入って行きました。
これを順を追って説明すると、まず現れなかった5分間。これは明らかに天龍と若手選手が必死で会場中のトイレを「消臭力」を探して回っていた時間です。若手選手が「天龍さんありましたー!!」と満面の笑みでトイレから出てくるところが目に浮かびます。そして問題の「消臭力」を撒き散らして「くさすぎる長州力!!」と叫んだところですが、これは普通にみれば「消臭力」を「長州力」に見立てて床に投げつけて怒りを表現したということになるんでしょうが、実はさらに深い真実があるんです。長州力は本当にくさいんです。ワキが。スリーパーホールドという首絞め技を長州力にかけられると、浅くしか技がきまっていないのにギブアップしてしまう選手もいるくらい、くさいんです。
それを消臭剤しかも「消臭力」とかけるなんて…。!?もしかしたら「消臭力」っていう商品名はそこもかかってるのか?