変なお祭り

7月も折り返しを過ぎ、もうすぐ夏本番です。日本の夏を彩る風物詩といえば「祭り」です。日本は米を主食にしている稲作の国なので、農作物の成長から収穫の時期にあたる夏から秋には全国各地で「夏祭り」「秋祭り」が行われます。日本各地には本当にたくさんの祭りがあって、ユニークなものもたくさんあります。みうらじゅんという人はそういったユニークな祭りを「とん祭り」と名付けて、本にして紹介したり、はたまた曲にしてバンドで歌ったりしているのですが、これだけたくさんのユニークな祭りがあれば、そうしたくなる気持ちもよくわかります。
そんなユニークな祭りの中でも、ぼく自身が見たものの中で、これはきているなと思ったのは、ぼくの出身校がある大阪府南河内郡河南町の秋祭り「だんじり祭り」です。だんじり祭りといえば大阪府岸和田市の猛スピードでだんじり、いわゆる山車(だし)を町中で暴走させ、家を数件破壊するのが有名ですが、河南町だんじり祭りは普通に練り歩くだけです。まあ、引いているのが地元のヤンキーなので数年に1回くらいテンションが上がりすぎてしまい、電柱が1本だけ70度くらいに曲がることはあるんですが、基本的にはゆっくり引かれていくだんじりの後ろを子供は綿菓子を食べながら、おとなはビールを飲みながらついていく、のんびりとした祭りです。夜になるとだんじりに照明が灯されてとても綺麗です。
じゃあ何がきているのかといえば、それはだんじりの屋根に乗って歌を歌っている人の「歌詞」がすごいんです。ものすごい下ネタなんです。屋根で歌っている人はひとりで、マイクを使って半径500メートル以内でははっきり言葉が聞こえるくらいの大音響で歌います。独特の節回しに合わせて歌われる歌詞はこんな感じです。


♪ちんぽ ちんぽ と 威張るな ちんぽ
ちんぽ おめこ の 爪楊枝 爪楊枝
♪おめこ おめこ と 威張るな おめこ
おめこ ちんぽ の 植木鉢 植木鉢
♪うちのかあちゃん洗濯好きで
夜中に何本も 竿立てる 竿立てる
奈良の大仏センズリこけば
奈良の都も 糊だらけ 糊だらけ


この1フレーズ、例えば♪爪楊枝〜爪楊枝〜、が終わるとだんじりを引いているヤンキーが一斉に
ツーツーレロレロツーレーロ、ツレヤレソレツレソレ、ツ、ツレヤレソレササリコサイサイサイ!! と絶叫します。


はじめて見た時はかなりの衝撃でした。こどももおとなも普通にちんぽちんぽの歌を聞きながら、ツーツーレロレロと合いの手を入れているんです。
全国にはたくさんの下ネタ系の祭りがあります。それらはおそらく男性器や女性器への崇拝、つまり生命の神秘に対する畏敬の念がこめられていると思うんですよ。でもこの歌詞見てくださいよ。悪乗りとしか思えません。しかも全部フリがあってオチがあるしね。
ジャンル的には「日本の伝統的な祭り」というよりも「鶴光のオールナイトニッポン」とか「プリンスやマドンナ」よりのような感じさえします。
ところが最後、本当に終わりの1回だけ「家内安全ー厄除け平和ー今年もいい年でいい年で」みたいなことを歌います。1度だけ。
まあ、終わりよければすべてよしですからね。いいんでしょうねえ。